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2005/04/10

天風先生座談 宇野千代著 廣済堂文庫

4331650235 中村天風を知りたいと思い「運命を拓く〜天風瞑想録〜」を読んだのですが、理解するのに時間がかかりました。他の本を読んで知識を蓄えてからの方がよかったと感じました。「成功の実現」(日本経営合理化協会)を最初に読むといいと思います。1万円を超える値段ですが、それだけの価値はあります。

とりあえず中村天風を知りたいのであれば、宇野千代が、中村天風の講演をその印象を損なわないように、書き起こした「天風先生座談」がお薦めです。

宇野千代といえば昭和32年(1957年)に「おはん」で野間文芸賞をとって一躍有名になりましたが、その後一行も書けない苦しい時代がありました。自分で「私はもう書けない。私にはもう書くことができない。私はちょうどそういう年齢に達したのだ。詩想が枯渇する年齢に達したのだ。」と思い込んでいたのです。

ある夜宇野千代は、中村天風から「人間は何事も自分の考えた通りになる。自分で自分に与えた暗示の通りになる。」「出来ないと思うものは出来ない。出来ると信念することは、どんなことでもできる。」といわれました。では私は、書けないと思ったから書けないのか。書けると信念すれば書けるようになるのか。17〜8年間1行も書けなかった宇野千代がある日2〜3行書いた。また1枚書いた。そして書けるのではないかと思った途端書けるようになったというエピソードが紹介されています。

魔法のような話ですが、一面の真実だと思います。馬鹿の壁ではないですが、自分から自分の能力に蓋をしてしまっている人は多いのではないでしょうか。中村天風は、落語家のような話し方で子どもから大人までわかりやすく人生の真髄を語っています。既に亡くなっていますから実際の声を聞くことはできませんが、宇野千代の自らの感動と幸福を自分以外の何百万人の人にも伝えたいという気持ちが伝わってきます。

心に残った言葉

人の命は、一ぺん死んでしまったら、二度とこの世に出られません。である以上、たとえ現在がどうあろうとも、三寸の息絶えて、万事休す、その日まで生きているんですから、死なない限りは生きているんですから、たとえどんなことがあろうとも、生きているというこの有り難さを心に思い、どんな辛いことがあろうとも、どんな悲しいことがあろうとも、すべてこの俺が、もっと高い心の境地になるための、天の試練なり、というふうに考えて、それを喜びと感謝に振り替えたら、どうでしょう。

いま、このことをそうだと思ったら、その人は今日から以降、ほんとうの幸福というものを味わいうる人です。

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