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2005/12/05

司馬遼太郎「坂の上の雲」

司馬遼太郎の坂の上の雲は、日露戦争で日本を勝利に導く重大な役割を果たした、秋山兄弟の2人の栄達を描いた物語です。同郷の正岡子規や夏目漱石も登場します。

このブログの2005年11月4日「胡蝶の夢 司馬遼太郎」でも書いたのですが、(http://takkun555.cocolog-nifty.com/sunaoweblog/2005/11/post_e02c.html

坂の上の雲」を読んだときも同じような感想をもったのだが、いったい司馬遼太郎は何をいいたかったのだろうか。あらゆるものの価値が大きく変わった明治維新を生き抜いた2人の若者の物語りは、なぜか無常観を与えるだけだったような気がする。時代の荒波にもまれながら人間は何をなしえたのだろうか。一方で栄達した勝海舟のような人もあれば、伊之助のようにさびしく世を去った者もいる。
たっくんのすなお日記「胡蝶の夢、司馬遼太郎(05年11月4日)」より

栄達物語といいながら、一生懸命に努力しながら報われたかどうかわからないような二人の晩年をみて、割り切れなさと物悲しさを感じたのです。

稲盛和夫、五木寛之著「何のために生きるのか」を読んでようやくわかりました。五木寛之と司馬遼太郎が「坂の上の雲」について話した時のことが書いてあります。司馬遼太郎は、「坂の上の雲」が高度成長期の応援歌のように取り上げられることに違和感をもっていたというのです。

「坂の上の雲」というのは、希望の象徴のように言われているけれども、そうではない。脱亜入欧のなかで、ヨーロッパに学んでアジア諸国をゴボウ抜きにして坂を駆けのぼっていく。峠のてっぺんに立って雲はつかめるか。坂の上の花とか果実だったらつかめるけれども、峠のてっぺんに立ったとき、雲は山のかなたの空遠く、向こうを流れているだけです。

つまり”坂の上の雲”は、永遠に到達することのできない目標という意味なんですね。永遠につかむことのできない夢、ということなのです。ある意味ではニヒルな、クールな視点です。明治の人たちの努力は猿真似であるかもしれない、でもやらなきゃいけないからやっていく。だけど、峠のてっぺんに立ったとき、われわれ日本人は雲をつかめるか。雲は永遠につかめないだろうという、深いアイロニーがあるすばらしい題名ですよね。

五木寛之の説明に、私だけが違和感をいだいたのではない、最初から筆者の意図がそこにあったのだと知って、ほっとしたのでした。

何を成し遂げたかということよりも、自分が人間的にいかに成長したかを人生の目的として生きていけばいいんです。

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コメント

はじめまして。
私はずいぶん前に『坂の上の雲』読みました。
そのときは、ただただ「ほぉ~っ」と思うだけで、たっくんさんの様にそんな深いところまで考えていなかったということが正直なところです。

私も本を読むのが結構好きなんですが、ブログは始めたばかりなので、本のことは全然書き込んでません。
これから徐々に紹介していきたいと思っていますので、お暇なときには遊びに来てください。

投稿: マーサ | 2005/12/05 17:38

マーサさん
はじめまして。コメントをありがとうございます。
私も坂の上の雲の第一巻だけは数年前に読んでいたのに、なぜか残りを読まずに年月が経っていました。今年になってようやく残りの7巻全部を読みました。
マーサさんはブログを始められたばかりとのことですが、好きな本の紹介を楽しみにしております。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: たっくん | 2005/12/05 22:22

たっくんさま
トラックバック、ありがとうございました^^;
坂の上の雲、長かった~^^;
少し冗長すぎるかな?とも思いましたが、
これほど勉強になる本ってのも貴重だと思いました。
今は功名が辻を読んでいます。
こちらはマンガのようにすらすらと読めて、
実に楽しいです^^;

投稿: masa | 2005/12/08 00:40

masaさん、はじめまして。
わざわざコメントをいただき、ありがとうございました。
紅葉の写真、すばらしいですね。最近デジカメを買い換えたのですが、写真を撮ってみたくなりました。
功名が辻を読んでいらっしゃるのですね。
感想を楽しみにしております。
また是非お寄りください。

投稿: たっくん | 2005/12/08 23:01

 以前、「坂の上の雲」関係でトラックバックしていただいていたのでお知らせします。

 4月28日に、松山市に「坂の上の雲ミュージアム」が完成しました。お近くへお越しの節は、ご覧ください。

投稿: jitenfeti | 2007/05/13 13:29

jitenfetiさん

4月28日に、松山市に「坂の上の雲ミュージアム」が完成したんですね。
連絡をいただき、ありがとうございます。
地理は詳しくないのですが、道後温泉の近くなのでしょうか。
温泉といっしょに一度いってみたいですね。

それでは、また。

投稿: たっくん | 2007/05/14 21:29

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