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2005/12/19

爽やかなる熱情―電力王・松永安左エ門の生涯

松永安左エ門をご存知ない方も多いかもしれない。少し前に文庫版が出たので、5年前に読んだのを思い出した。

福沢諭吉から直接教えを受け、娘婿の福沢桃介と一緒に福松商会で商売を始める。石炭を取り扱い大もうけをして、株でも巨富を築く。しかし相場急落で一転借金を背負う身になってしまう。ここで松永は実業に取り組む。電力の将来性に着目した松永は、九州は福岡で電鉄会社を設立し電力会社と合併して中小の電灯会社を傘下におさめながら、九州・大阪・名古屋の電力をカバーする東邦電力の社長として東京に乗り込む。東京での電力供給について、小林一三率いる東京電灯と厳しい競争を展開し、結局合併に導いたのだ。

第2次世界大戦に入り、電力も全て日本発送電に一本化され、松永は全ての役職を辞して埼玉県の柳瀬に引っ込んでしまう。茶人「耳庵」としての活躍を開始するのはこの頃だ。日本は敗戦を迎え、GHQによる占領が始まった。

これからの日本を支える電力をどうしていくのか。電力の供給体制を決める「電気事業再編成審議会」の委員長に就任した松永は、国内の大半を反対に回しながら粘り強くGHQを説得して、現在の9電力体制を完成させた。その後、設備投資をまかなうために電力料金の大幅値上げを敢行し、世間からは「電力の鬼」と呼ばれる。しかし、世論とはうらはらにその後の日本の発展が、松永の先見性に助けられたことは万人が認めるところである。

明治、大正、昭和を駆け抜けたこのような人、松永安左エ門のようになれたらといつも思っている。

心に残った言葉

けしからん、限界なんかない。そんな考えを持っているから何もなさずに死んでしまう。完全ということはないかもしれんが、完全になろうと努力することが尊いのだ。

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コメント

聖月さん、はじめまして。
わざわざトラックバックをありがとうございます。
600冊を超える書評をブログに載せられているのはすごいですね。
松永安左エ門の書評も大変参考になりました。まさに人物論ですね。
今の日本にいてほしい人物だと思いました。

少しづつ寄らせていただきます。
よろしくお願いします。

投稿: たっくん | 2005/12/19 23:23

chorinkaiさん、はじめまして。
「やさしい経済学」の日本の企業家(日経新聞)で、松永安左エ門を取り上げてました。
chorinkaiさんのブログに転載されているようなのでトラックバックさせていただきました。
わざわざトラックバックをいただき、ありがとうございます。
松永安左エ門のような洞察力のある人物を、今の日本は必要としているのでしょうね。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: たっくn | 2005/12/19 23:42

たっくんさん、はじめまして。

TBばかりでなくコメントまでいただき、ありがとうございます。

リーダー不在の今の日本には、松永安左エ門のように時代の本質を洞察する鋭い力を示し、かつそれを現実の成果として実らせることのできる強い信念をもった人物が求められているように思います。おっしゃる通りです。こちらの方こそ、今後ともよろしくお願い致します。

投稿: chorinkai | 2005/12/20 19:47

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» △「爽やかなる熱情」 水木楊 日本経済新聞社 1700円  2000/12 [「本のことども」by聖月]
 今回の書評は、禁じ手を使わせていただく。他の書評の引用という禁じ手を。  当然のことながら、評者も新聞や雑誌の書評をよく読む。気になった本の紹介があれば、雑誌だったら丸ごと保存版にしたり、メモしておいたり、新聞であれば大抵切り抜いてビニールファイルの中に放り込んでいる。ここに本書の書評の記事がある。日経新聞日曜版の書評記事であり、多分2001年中に掲載された記事であると思う。書評執筆者は一橋大学教授米倉誠一郎氏。かなり長い書評の、コピー、書き出し、末文を引用紹介したいと思う。ちなみに本書の副... [続きを読む]

受信: 2005/12/19 07:16

» 「知」を研ぎ澄まし創造的破壊を実践する――松永安左エ門 [こころは超臨界]
【幸せと平和を願う心が臨界質量を超えるとき世界が変わる】 日経新聞「やさしい経済学」が日本の企業家を特集している。今回の企業家は、「電力の鬼」といわれた松永安左エ門。解説は、スタンフォード日本センター理事、今井賢一さん。 年表・松永安左エ門 1875 長崎・壱岐に生まれる 1889 慶応義塾に入る 1899 日本銀行に入る(翌年退職) 1907 株価暴落などで打撃受ける 1909 福博電気軌道専... [続きを読む]

受信: 2005/12/19 23:03

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