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2006年4月の1件の投稿

2006/04/15

大聖堂(上・中・下) ケン・フォレット著

読み出したらとまらない本、というのはそうはありません。

俳優の児玉清さんが月間PHP4月号の特集「僕の気持ちを軽くしてくれる本」に紹介していた、ケン・フォレット著「大聖堂(上・中・下)」はまさに読み出したらとまらない本です。

「大聖堂建築に命を賭けた石工の物語は、まさに波瀾万丈、彼の不撓不屈の精神と美しき姫との恋の行方は、何度読んでも僕の心を虜にする。人生憂きことなど颯と吹き飛ばし、心を軽快にしてくれる珠玉の極め付きの一冊だ。」
(月間PHP4月号の特集「僕の気持ちを軽くしてくれる本」より)

12世紀のイギリスをキングスブリッジ修道院を舞台にした物語です。有能な石工であるトムは、いつかは大聖堂を建築したいという希望を胸に放浪を続けていますが、食べるものがなくなり、餓死寸前のところまで追い込まれます。教会は宿と食事を施してくれるのですが、1泊だけです。次の日には出て行かなければなりません。

今は、空腹を感じたらどこでもかけこめばそばぐらい食べられます。空腹が長引くという経験は生まれてこのかた、したことがありません。倒れるくらいに腹がへるという状況がどのようなものなのかなあ、と物語とは関係ないことに興味を覚えました。

トムの人生も波瀾万丈ですが、もう一人の主人公、キングスブリッジ修道院長のフィリップの人生も、ウィリアム伯爵やウォルター司教など数々の障壁にいくてをさえぎられます。神は試練を与えたもうたのか、聖職者だけにその都度絶望的になりそうな場面で、七転び八起きと絶対にあきらめずに戦っていくのです。ここがこの本の真骨頂でしょう。

ディックの本棚http://blog.livedoor.jp/dick21/archives/50275888.htmlのディックさんの書評が大変参考になるので引用させていただきました。

また、この小説はけっしてプロットのおもしろさだけではない。
森と都市、領主と領民、貴族と国王、王権と教会、迷信と知恵、富と貧困、こうした中世の社会を形作っていたものの関係が、しっかりと描き込まれていて、経済や政治の仕組みがごく自然に理解されてくる。情感たっぷりの物語でありながら、こうした基礎的な部分がしっかりとしているので、とてもリアリティがある。
 中世の終わり頃というと、王権が強くなってキリスト教の支配領域を少しずつ浸食しようとし、それに対して教会が既得権を守ろうと必死になっていた。そういう中世のイギリスに対する理解を深められる、という点でも、興味深い本なのだ。
 ゴシック建築に対する理解があればより一層楽しめるはず。

国王と教会の対立という点は、その原点がローマ帝国とキリスト教会の関係までさかのぼります。最近読んだ塩野七生の「ローマ人の物語 キリストの勝利」は司教の前にひざまずくローマ皇帝を書いています。

どんな時にもくじけずに前向きに挑戦する。くじけそうになったらもう一度読み返したい本です。

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